1906年。オーストリアの小説。
ムージルさんの小説を読んだ事がなかったので、今回挑戦。
まずは短編からいってみよう!と、この作品を手に取ってみました。
手に取ってみて、まず帯の宣伝文句に
「ウソぉぉ!?そんな話でしたっけぇぇぇ!!?」
と、何かもう、むしろ俺だよ俺の方が混乱だよ、と驚愕。
BLの古典という認識はしていなかったのでビックリ。
全寮制エリート陸軍実科学校(男子校)に入学したテルレス君が、そこで起こる『いじめ』や『性』の問題を通して、様々な事に迷って困って大混乱しつつも、少しずつ成長していく姿を書いたお話。
テルレスのクラスメイト・バジーニ君(美少年)が、ある日同級生のお金を盗んでしまう。
それを知ったクラスメイト達が、「罰」と称して彼をイジメるように。
そこに思春期の少年の一大イベント(?)“性の目覚め”が絡んできてしまい、
最終的に、まぁBLと言われれば、そうですね。そうかもしれないですね。という展開になっていきます。
でも純粋な同性愛ものではないです。何かこう…、衝動と迷走の描写だと思います。
で、そんな状況を、テルレスは傍観しています。
傍観しながら、
バジーニを助けたいような、罰を受けて当然のような、
イジメっ子達にドン引きのような、
でも、イジメっ子達についていかなきゃ、置いていかれてしまう気もするような…云々。
…みたいな感じで、この状況での自分の気持ちの置場所がわからず、どうしたらいいのか、自問自答を繰り返します。
繰り返しまくって「人間とは一体…」的な所まで行き、この人間の混迷を数学に置き換えて紐解けないものか、と教師に虚数についての質問をしに行ってみたり、
哲学の本を読んでみたけど、難しすぎて2、3ページで投げたり、
ひっちゃかめっちゃかです。
更にそこに自分自身の性的衝動まで絡んできてしまうから、もう大変。
しかもこの小説の文章が、テルレスの混乱した気持ちを「混乱したまま」書いていましてね。
全編が、
「何言ってんだかよくわかんないけど、でも言わんとしている事の雰囲気はわかるよ」
という感じになっていて、10代の子の、うまく表現できない悩みや不安や焦燥が、とっても伝わってきました。
現役で思春期!という方より、そういうのをすっかり通り過ぎたお兄さんお姉さんにオススメしたい小説だな、と思いました。
毎日、拍手・コメントありがとうございます!
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簡単なお返事しかできず、ごめんなさいね。